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ビシェイインターテクノロジー
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VishayのTVSダイオード
パワー回路のさまざまな部品を展開するVishayが、通常のTVSダイオードより低いクランプ電圧を持つ、XClampR™ TVSをリリースしました。
本ページでは、XClampR™ TVSを含む、車載・インダストリアル向けTVSダイオードの詳細と、TVSダイオードの概要・選定方法を紹介します。
TVSダイオード概要
TVSダイオードとは?
TVSダイオードとは、ツェナーダイオードの一種ですが、この中でも電源ラインに発生するさまざまなサージ(車載のロードダンプサージ等)を本デバイスで吸収・消費します。
これにより、サージ波高を低減し、後段回路を保護することに特化したダイオードが、TVSダイオードです。
TVSダイオードの代表的な電気的特性
VWM(スタンドオフ電圧): TVSダイオードがサージクランプ動作をしない電圧
VBR(ブレイクダウン電圧):TVSダイオードがサージクランプ動作を開始する電圧
IPP(サージピーク電流):TVSダイオードに流れるサージ電流のピーク値
VC(クランプ電圧):TVSダイオードに上記のサージピーク電流が流れたときの最大端子出力電圧

TVSダイオードの選び方
適切なTVSダイオードの選定には、主に吸収すべきサージの極性(正or負)、クランプ特性、耐電力の検討が必要です。
サージの極性
適切なTVSダイオードの選定には、主に吸収すべきサージの極性(正or負)、クランプ特性、耐電力の検討が必要です。
TVSダイオードの代表的な電気的特性
SiCは、逆回復電荷や容量成分がシリコンより極端に小さいため、スイッチング動作が速いです(右図)。このため、スイッチングON/OFF時に発生する遷移損失を大きく低減できます。

VishayのTVSダイオード
標準的なTVSダイオード(TRANZORB/PARシリーズ)
Vishayの標準的なeSMPパッケージTVSダイオードの、代表的なラインナップは下記の通りです。
Vishayの標準的なTVSダイオードには、「最大500V近いVBRに対応するインダストリアル用途に対応するTRANZORBシリーズ」と、「185度のジャンクション温度保証で車載用途に対応するPARシリーズ」があります。
より詳細な、eSMPパッケージを含む詳細ラインナップは、下記リンク先からご参照ください。
LowClampTVSダイオード"XClampR"
LowClampTVSダイオード"XClampR"の特徴
LowClampTVSダイオード"XClampR"のラインナップ
(現状のラインナップは下記3製品です。
PARAMETER | SYMBOL | XMC7K24CA | XLD5A24CA | XLD8A24CA |
---|---|---|---|---|
Maximum working stand-off voltage | VWM | 24V | ||
Breakdown voltage | VBR | 26.7V to 29.5V | ||
Maximum clamping voltage | VCL_max | 24V | 26V | 26V |
Maximum peak pulse power | PPPM(10us/1000us) | 7000W | 7700W | 11000W |
PPPM(10us/10000us) | 1200W | 4600W | 7000W | |
Maximum peak pulse current | IPPM(10us/1000us) | 180A | 200A | 300A |
IPPM(10us/10000us) | 30A | 120A | 180A | |
Package | Package | DO-214AB | DO-218AB |
VishayのTVSダイオードのユースケース
TVSダイオードは誘導負荷スイッチングや雷によって誘発される電圧過渡現象から敏感な電子機器を保護するように設計されていて、前述の通りPARシリーズはロードダンプをはじめとした車載用途、TRANZORBシリーズはインダストリアル用途を想定しています。
また、追加リリースされたXClampR™は、図のように標準TVSと直列接続してクランプ電圧を上げることで、下記のようなユースケースにも使用できます。
・自動車のロードダンプ保護
・48 V パワートレインの DC リンクコンデンサー保護
・ロボットアームおよび産業用途の駆動回路保護

VishayのSiCショットキーダイオードの特徴
VishayのSiCショットキーバリアダイオードは、MPS(Merged PIN Schottky)という構造を使用しています。これは、n-層の一部分にp+層を埋め込んだものであり、この構造により瞬間的な大電流を流すことができ、大電流に伴うVF増も最低限に押させることができます。すなわち、大きなサージ電流耐性を持つことができます。
さらに、VishayのSiCショットキーバリアダイオードには、laser annealing technology技術を使っているため、VFを低く抑えます。また、漏れ電流が小さいため、軽負荷時や待機時の消費電力を極限まで抑えます。
さらに、テール電流もないため、スイッチング損失低減に貢献します。