近年、LCD(液晶ディスプレイ)は身の回りの至る所で目にするようになりました。LCDは映像を表示する製品のため、光や色に関する特性が非常に重要なモジュール製品となります。今回は当社が保有する測定機材を使用して、実際のLCD特性を評価・解説していきたいと思います。
1. LCDの光学特性
LCDのデータシートを見てみると、電気特性(Electrical Characteristics)に加え、光学特性(Optical Characteristics)という項目が記載されています。光学特性はLCDの明るさや色味などを定量的に規定した項目で、LCDの見た目を左右する非常に重要な特性になります。
輝度
輝度(White Luminance)はディスプレイの明るさを表す指標になります。
単位はcd/㎡(カンデラ毎平方メートル)あるいはnit(ニト)で表され、1cd/㎡ =
1nitになります。
LCDメーカーのデータシートではLCD中央における輝度値を規定していることが多いです。通常、輝度は設計保証値となるため、メーカー出荷時に全数検査しておらず、データシートでもmax値は規定していないことが一般的です。
| Parameter | Condition | Min | Typ | Max | Unit |
|---|---|---|---|---|---|
| White Luminance | Center Point | 300 | 350 | - | [cd/m2] |
表1 輝度の記載例
データシート上では各パラメータの具体的な測定方法が定義してあります。
図1は一例ですがイラストのような測定条件がデータシート内にも記載されています。
図1 輝度測定条件の例
さて、ここで実際に身の回りのLCDを使って光学特性を測定してみましょう。今回は簡易的な測定のためノートパソコンの特性を確認してみたいと思います。写真は見やすさのために室内灯を点けていますが、光学特性の測定は通常暗室内で実施します。
図2 輝度測定の様子
Windows標準搭載のペイントツールを使い、白色(R:255、G:255、B:255)画面で輝度測定した所、236.8[nit]という結果になりました。通常、ノートパソコンの画面輝度は200~400[nit]程度が一般的ですので概ね正しい輝度が見えていると言えます。
図3 ノートパソコンの輝度測定結果
色度
色度(Chromaticity)は色の特性を定量的に表す指標です。
LCDではCIE(国際照明委員会)が定めたxy色度図と呼ばれるグラフで表現することが一般的です。
xy色度図は人間の可視領域の色を数値に置き換え色座標としてグラフ化したもの(図4)で、LCDのデータシート上では赤、緑、青、白の特性を座標値で規定しています。
| Parameter | Condition | Min | Typ | Max | Unit |
|---|---|---|---|---|---|
| Color Chromaticity (CIE 1931) | Red x | 0.570 | 0.620 | 0.670 | - |
| Red y | 0.226 | 0.276 | 0.326 | ||
| Green x | 0.237 | 0.287 | 0.337 | ||
| Green y | 0.526 | 0.576 | 0.626 | ||
| Blue x | 0.096 | 0.146 | 0.196 | ||
| Blue y | 0.030 | 0.080 | 0.130 | ||
| White x | 0.250 | 0.300 | 0.350 | ||
| White y | 0.270 | 0.320 | 0.370 |
表2 輝度の記載例
LCDはデータシート上で規定されている色度内の色だけを表現することができます。表2の色度(typ値)をCIE1931色空間上にプロットしたものが図5になります。三角形の三辺で囲まれた範囲内の色であればLCDは表現可能となります。
図4 CIE1931色空間
図5 CIE1931色空間へのプロット例
先ほど輝度を測定した環境で、同時に色度も測定が可能です。ペイントツール上で、赤色/緑色/青色の色度をそれぞれ測定すると以下のような結果となりました。実測結果を図4にプロットしてみると、概ねCIE1931色空間上で表現されている色と一致していることが分かるかと思います。
図6 赤色(R:255)の測定結果
図7 緑(G:255)の測定結果
図8 青(B:255)の測定結果
色域
色域(Color Gamut)はLCDがどの程度の色まで表現できるか数値化した指標です。色域は、NTSC(National Television System Committee)がカラーテレビ向けに策定した色座標を基準にしています。NTSCの色表現領域に対する、LCDが表現可能な色表現領域の面積比で計算されます。先ほどCIE1931色空間上に色度をプロットすることでグラフ上に三角形ができたと思いますが、この三角形の面積とNTSC基準の三角形の面積比が色域として定義されます。
データシート上では以下のようにパーセント表記で表現されています。LCDによって色域の値も変わってきますが、この値が大きいほど色再現領域が広く、様々な色が表現できるということになります。色域はカラーフィルタの厚みで決まる設計保証値のため、データシート上ではmin/max値が規定されていないことが一般的です。
| Parameter | Condition | Min | Typ | Max | Unit |
|---|---|---|---|---|---|
| Color Gamut | - | - | 60 | - | % |
表3 色域の記載例
先ほどの図5をもう1度見てみましょう。
「NTSC(100%)」で囲まれた三角形が基準となる色域であり、「Laptop PC
RGB」で囲まれた三角形の面積比は66%となるため、この場合のColor Gamut(色域)は66%となります。
図9 Color Gamut(色域) 66%の例
コントラスト
コントラスト(Contrast ratio)はLCDの明暗比のことを指します。白表示の輝度と黒表示の輝度の比で計算される値で、データシート上では以下のような表記をします。コントラストが高いほどくっきりとした鮮明な画像を表示できます。医療現場や屋外での使用が想定されるような視認性が求められる環境ではコントラストが重要視されます。
| Parameter | Condition | Min | Typ | Max | Unit |
|---|---|---|---|---|---|
| Contrast ratio | - | 800 | 1000 | - | - |
表4 コントラストの記載例
視野角
視野角(Viewing Angle)はLCDを上下左右から見た時、色の変化やコントラストが一定以上となる角度のことを指します。通常、LCDメーカーのデータシートでは「コントラストが〇〇以上となる角度」として定義されており、以下のような図示がされていることが多いです。以下はIPS液晶の記載例になります。
| Parameter | Condition | Min | Typ | Max | Unit |
|---|---|---|---|---|---|
| Viewing Angle | Horizontal (Up) | - | 89 | - | degree |
| CR > 15 (Down) | - | 89 | - | ||
| Vertical (Right) | - | 89 | - | ||
| CR > 15 (Left) | - | 89 | - |
表5 視野角の記載例
図10 視野角の定義
2. 当社測定設備のご紹介
当社で保有している測定設備をご紹介致します。
ディスプレイカラーアナライザ CA-310
- コニカミノルタ製ディスプレイカラーアナライザ
- 輝度は0.0001~1000nitの範囲で、色度は4桁表示が可能
- 専用プローブに遮光筒を取り付けて測定することで外乱光の影響を減らし正確な測定が可能
図11 ディスプレイカラーアナライザ CA-310
コスモ電子製 V-by-One対応点灯装置
- V-by-OneでLCD表示用画像を出力
- 変換基板を介すことでLCDの入力インターフェース(LVDS等)に合わせた映像入力が可能
図12 V-by-one対応点灯装置とLCD点灯時の様子
セコニック製照度計 C-7000
- セコニック製の分光色彩照度計
- ポータブルタイプの機材で測定値表示・記録、グラフ表示まで可能
- LCD測定時の測定環境照度を取得することが可能
図13 分光色彩照度計 C-7000
まとめ
ネクスティエレクトロニクスでは複数のLCDサプライヤから最適なLCDパネルをご提案可能です。製品提案だけでなく、今回ご紹介したような測定機器を使用した評価対応のご相談も可能ですので、お困り事があれば是非弊社までお問い合わせ下さい。
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