GNSS測位とは?
私たちは日常スマホやカーナビ等を介して位置情報を活用していますが、どのように位置を算出しているのかご存じでしょうか?
スマホやカーナビ含めた位置の算出にはGNSS衛星測位が用いられています。
今回、本コラムでは、GNSS衛星を用いて位置を測位する方法についてご紹介します。
※GNSS衛星に関してはコラム「GNSSとは?」を参照ください。

GNSS衛星を用いた位置測位方法一覧
GNSS衛星を用いた位置測位方法には、大きく分けて「単体測位」と「相対測位」の2つがあります。
代表的な測位方式の概要を以下に記載します。
次章以降で、各測位方式の詳細を解説します。
ポイントは、必要とされる位置精度に応じて使い分けられることです。
測位方式 | 概要 | 位置精度 | |
---|---|---|---|
単体測位 | 1つの受信機で位置測位を行う方式 ※カーナビ等で用いられる | 10m程度 | |
相対測位 | 相対測位 | 2つ以上の受信機で位置測位を行う方式 相対的な位置関係を求めることで誤差を抑えることができる 下記、DGNSS測位および、RTK測位、ネットワークRTK測位も 相対測位の1つに含まれる | 数m程度 |
DGNSS測位 | 1つの受信機と既知点(DGPS局)を組み合わせて 位置測位を行う方式 2019年にDGPS局を用いたDGPSサービスは終了、 代わりに静止衛星(日本の場合:MSAS)の補正情報を利用する形で継続 | 数m程度 | |
RTK測位 | 1つの受信機と既知点(基準局)を組み合わせて 位置測位を行う方式 計測地点の近傍に基準局が必要(なければ設置が必要)になる | 数cm | |
ネットワーク RTK測位 | 1つの受信機と複数の既知点(電子基準局)を組み合わせて 位置測位を行う方式 国土地理院が設置している電子基準局の位置情報をネットワーク経由で受信、補正情報として扱う | 数cm |
単体測位とは?
単体測位とは、文字の通り、1つの受信機でGNSS衛星利用して測位を行う方法です。
カーナビやスマホ等で用いられる、最も身近な測位方法です。
受信機は、4機以上の衛星情報を取得し、取得した情報をもとに、位置を算出します。
測位に必要な衛星と受信機間の距離は、電波の送信時間と受信時間の差分をもとに算出されます。
相対測位とは?
相対測位とは、単体測位とは異なり、2台以上の受信機を用いてGNSS衛星測位を行い、相対的な位置差分を取り扱う方法です。
相対測位も単体測位同様に、受信機は4機以上の衛星情報をもとに位置を算出します。
測位情報を相対的に扱うことで、固有の誤差が相殺でき、精度が向上します。
DGNSS(Differential GNSS)測位とは?
DGNSS測位とは、単体測位とは異なり、1つの受信機と既知点(DGPS局)を組み合わせて位置測位を行う方法です。
既知点である、DGPS局の補正情報をもとに位置補正を行います。
もともとは、地上に設定されているDGPS局の補正信号を使用していましたが、DGPS局運用の終了に伴い、現在は代わりに静止衛星からの補正情報が用いられるようになりました。
RTK(Real-time kinematic)測位とは?
RTKとは、地上に設置されている基準局からの補正情報をもとに、高精度測位を行う方法です。
DGNSS測位との違いは、受信機の衛星測位が単体測位ではなく搬送波位相(後述)を用いることで、測位精度の向上を見込んでいます。
基準局からの補正情報を受信する必要があるため、既設の基準局の信号が受信できないなど、測位環境によっては受信機の近傍に基準局を設置する必要があります。
ネットワークRTK測位とは?
ネットワークRTK測位とは、基準局と受信機の間のデータをサーバーを通じてやり取りする方法です。
受信機の測位データを基準局へ送信、測位データに対する補正情報を基準局から受信機に送信することで
高精度測位を実現します。
RTKとは異なり、サーバーを通じて補正信号を受信できるため、基準局を設置する必要がないという点がメリットの一つです。

搬送波位相とは?
搬送波位相とは、衛星と受信機の間の距離の精度を向上させることで測位精度を高める方法です。
測位に必要な衛星と受信機の間の距離は、「波長数(N個)+1波長未満」で計測されます。
このうち、搬送波位相は1波長未満の部分を指し、複数の衛星からの距離差を算出することで測位精度の向上を実現します。
まとめ
本コラムでは、GNSS衛星を用いた位置測位方法について解説しました。
まとめると、位置測位を行うには
- 4機以上の衛星情報が必要
であり、また、
- 位置精度を向上させる手法として相対測位がある
と言えます。