広帯域センサーネットワークを実現する近距離無線規格
アクセス制御方式
アクセス制御方式とは、シンプルに言えば、ネットワークやシステム、データなどにアクセスできるユーザーを制限することです。さらに、アクセス制御には、大きく分けて認証・認可・監査の3つの機能があります。
認証
ユーザーのログイン許可および拒否を制御する機能です。アクセスを試みるユーザー毎にIDやパスワード、指紋、顔などの生体認証、電子証明書などの認証を施し、許可および拒否を制御します。
認可
アクセスが許可されたユーザー毎に、制御できる範囲を制限する機能です。ユーザーは、あらかじめ決められたアクセス制御リストをもとに、制御できる範囲内で操作を行います。認証でアクセス可否を判定し、アクセス後にさらに操作範囲が絞られます。
監査
認証や認可を行ったログを記録します。アクセス履歴を記録することで、アクセス認証や認可の正当性を検証し、改善に貢献します。この機能によって不正ログインが発生したとしても、ログ履歴から迅速に対応が可能となります。 ネットワーク内で様々な信号伝達が行われ、競合や衝突が発生する可能性があります。このような事象で異常な通信を回避するために、いくつかのアクセス制御方式が利用されています。今回はZigbeeネットワークを利用する際、通信媒体上で生じる信号の衝突を回避するために、データリンク層における信号の伝達を制御する方式を説明します。
ビーコンモードとノンビーコンモード
ZigBeeの通信方法は2種類あり、1つはCSMA ⁄ CAにより全ノード間で互いに直接通信するノンビーコンモード、もう1つはビーコン信号を定期的に送信して間欠動作や帯域保証通信を行うビーコンモードです。
CSMA ⁄ CA
ZigBeeのアクセス制御方式は、イーサネットでも使われているCSMA ⁄ CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)が採用されています。これは、混信を防ぐために伝送路の状態を確認し、空いていればランダムな時間(バックオフ)を待ってからデータを送信します。また、衝突が発生した場合にはデータの再送信を行うことができます。

実際には下図のように、CCA(Clear Channel Assessment)方式により、チャネルが空いている状態(Idle slot)かどうかを確認し、バックオフが0になればデータを送信します。 一方、CCAによってチャネルがビジー状態と判断されたときのバックオフカウンター値は上限が存在し、上限値を超えた場合はデータが破棄されます。ただし、データ送信時にACKを受信しなければ、データを再送します。

上記に関して、さらに詳しく説明します。 データを送信する前に、バックオフの期間待機し、CCAを開始します。CCAの期間はCCA detection timeで定められ、チャネルの使用状況を判定します。バックオフの期間は、[0,2BE-1]の範囲内から乱数(整数値)を発生させ、その乱数にBackoffPeriodを乗算したものになります。ここでの、BE(Backoff Exponent)はBEminで初期化され、CCAによってチャネルがBusyと判断された場合、BEをインクリメントします。ただし、BEはBEmaxを超えないものとします。(標準でBEminは3、BEmaxは5と定められています。また、1 BackoffPeriodは理論値で320usになります。)
CCAにおいて、チャネルがIdleと判断された場合、aTurnaroundTime(192us)の期間が経過した後に、データを送信します。一方、チャネルがBusyと判断された場合、再びバックオフの期間待機します。データを受信した場合、aTurnaroundTimeの期間が経過した後に、ACKを送信します。CCAによってチャネルがBusyと判断されたときのバックオフ回数には上限値としてMaxBackoffが定められており、上限値を超えた場合はデータが破棄されます。なお、データ送信後に、ACK待機期間内にACKが受信されなければ、データを再送します。再送回数の上限値として最大データ送信リトライ値が定められており、上限値を超した場合はデータが破棄されます。

隠れ端末問題
実際、ZigBeeでの通信には、隠れ端末問題があります。これは、ZigBee
コーディネータ(ZC)に対してデータを送信しようとする端末Aと端末Bが互いの通信範囲外にある場合、端末Aと端末Bはキャリアセンス(電波の状態を確認すること)ができず、ZCで衝突が発生することがあります。
下図では、端末AはZCとは通信可能ですが、端末Bとは距離が遠いため通信ができません。同様に、端末BはZCとは通信可能ですが、端末Aとは距離が遠いため通信ができません。

スーパーフレーム
ZigBeeは、スーパーフレームという仕組みで隠れ端末問題を防ぎます。スーパーフレームは、ビーコンとビーコンで区切られたフレームのことを示します。ZigBeeは、ZigBee コーディネータ(ZC)によりオプションでスーパーフレームを使用することができます。各端末は、CSMA/CAを使用した通信で、ビーコン間隔を全ての端末がアクセスが可能なCAP(Contention Access Period)と、ZCに許可を得た端末だけがアクセス可能なCFP(Contention Free Period)があります。そして、全ての端末がアクセス禁止となるInactive期間が設けられます。

ZCは低遅延を目的に、保証付きタイムスロットであるGTS(Guaranty Time Slot) を設定できます。CFPはGTSメカニズムにより最大7分割され、通信を優先的に行いたい端末へ割り当てることが可能です。上図の場合、GTSメカニズムにより7分割された時間区分をGTS1、GTS2 にそれぞれ3区分ずつ割り当てた時の配分を示しています。この期間を割り当てられた端末は優先的にデータ送受信を行うことができます。
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