WCDMAとCDMA2000の比較
日本国内の方式
日本ではNTTドコモとソフトバンクがWCDMA、auがCDMA2000(1x)を採用しております。
楽天モバイルはMNO(Mobile Network Operator:
移動台通信事業者)として2019年10月からサービスを開始したため、LTEや5Gエリア拡大を優先し3Gは採用しませんでした。
CDMAとは
符号分割多元接続(Code Division Multiple Access)のことで、一つの主端数を用いて端末ごとに異なるスペクトル拡散符号を割り当て通信を行う方式です。拡散符号が異なるため、同一周波数/同一時間で複数端末が通信を行っても、端末ごとのチャネルを識別することができるため、周波数利用効率が高くなります。
帯域の使用方法
WCDMAは割り当てられた帯域をそのまま使用します。
CMDA2000は3つの搬送波を使って3つに分割して通信を行います。1xは3分割した内の1つの搬送波のみを使用して通信、3xは3分割した内の3つの搬送波を同時に使用して通信を行うことを意味します。
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WCDMA
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CDMA2000 (1x)
-
CDMA2000 (3x)
データと音声の同時利用
WCDMAは一つの大きな帯域にデータ通信用データや音声データなどを複数入り混じり1つのチャネルで送信します。そのため、どちらかのデータが大きすぎた場合、通信速度低下や音声品質低下が起こる可能性があります。
CDMA2000(1x)は音声は音声、データはデータで別の帯域を使用して送受信します。そのため品質は担保できますが、1つのチャネルしか使用しないため、音声、またはデータのどちらしか使用することができません。
国 | W-CMDA | cdma2000(1x) |
---|---|---|
アクセス方式 | DS-CDMA | DS-CDMA |
通信方式 | FDD | FDD |
周波数帯 | 800M、900M、1.5G、1.7G、2.1G | 800M、2.1G |
変調方式(下り) | データ変調:QPSK 拡散変調: QPSK | データ変調: BPSK、QPSK 拡散変調: QPSK |
変調方式(上り) | データ変調:BPSK 拡散変調: HPSK |
データ変調:64次直交変調、BPSK 拡散変調: OQPSK、HPSK |
占有帯域幅 | 5MHz | 1.25MHz (1x)、3.75MHz (3x) |
フレーム長 | 10ms、20ms、40ms、80ms | 20ms |
時刻同期 | 不要 | 必要 |
音声符号化 | AMR | EVRC |
音声/データ同時利用 | 利用可能 | 利用不可能 |
W-CDMAの高速化
HSPA
電波強度は一定のままで電波状態が良い端末にはデータを多く、悪い端末にはデータを少なく送り、端末の状況変化を細かく確認してデータ量を増減することで、効率的に電波を利用して全体的にデータ量を増やしました。主な要素技術は以下の4つとなります。
適応変調
電波状況が良いときは4ビット単位で情報を送信する"16QAM"、悪いときは2ビット単位で情報を送信する"QPSK"を使用します。
適応符号化
電波状況が良いときは実際のデータ割合を増やし、電波状況が悪いときは過り訂正用データ割合を増やします。
Hybrid-ARQ
受信したデータに誤りがあったとき、破損したデータを破棄せず保留し、再送されたデータと合成して正しいデータが再現できた場合に、それ以上の再送信を要求しない方法です。
ハイスピードシェアチャネル
1つの帯域を複数の端末で共有するとき、端末ごとの電波状況に応じて通信する端末と変調方式を柔軟に決めることで電波効率をよくする方法です。
HSPA+
下り最大20Mbps声の高速化を実現するために策定されたHSPA Evolutionとなります。変調方式に64QAMを採用し下り最大21Mbpsを実現します。ソフトウェアのアップデートのみで高速化が可能となります。
DC(Dual-Cell)-HSDPA
HSDPAでは5MHz幅単位で利用していた帯域を、通信ピーク時に隣り合った2つの帯域を使うことで最大2倍の速度で通信できるようにする方法です。帯域管理以外はHSPA+の技術をそのまま使用します。
3G | 3.5G | |||
方式 | W-CDMA | HSPA | HSPA+ | DC-HSDPA |
---|---|---|---|---|
速度 | 最大384kbps | 最大14.4Mbps | 最大21.6Mbps | 最大42Mbps |
変更内容 | 変調方式を変更 | 変調方式を変更 | 周波数幅を2倍 |
CDMA2000の高速化
EV-DO (Rev.0)
下りスループットを大きく向上させるためにデータ通信の最適化をした技術となります。主な要素技術は以下の3つとなります。
無線チャネル/フレーム構成
瞬時に変動する無線チャネル状態に応じた無線リソース割当てを可能とするため、下り無線チャネルに長さ1.67msのスロットを導入しました。
多値変調導入
下りデータチャネルにビットレート(38.4kbps-2.4Mbps)やペイロードサイズ(1024,2048,3072,4096ビット)の異なる12種類のフォーマットを用意し、様々な状態に適応した効率の良い伝送を可能とします。
下りソフトハンドオフ(ハンドオーバー)方式の変更
従来は複数のセクタが異なる下りチャネルを同一の移動局宛に同時に使用し、下りチャネル品質を向上させます。EV-DOでは同時に複数のセクタから送信すのではなく、無線チャネル状態が最も良いセクタの無線チャネルを瞬時に切り替えて使用することで、無線リソースの利用効率を向上させます。
EV-DO (Rev.A)
上り方向の伝送速度を高速化し、QoS(Quality of Service: サービス品質)機能を実現します。
速度の高速化
一度の多くのデータを送信できる変調方式の追加と、データを送信する単位である無線スロットを減らして一度に送信できるデータ量を増やします。
マルチキャスト
1対多の通信、ブロードキャストと呼ばれるデータ配信方法となります。データを電波に乗せて発信すると電波の届く複数の端末に同時にデータとして受け取ることができます。
QoS対応
音声と映像に対して別々にQoSの制御や、送信データの小さなフレームに圧縮して効率的に再送制御が実現します。
EV-DOマルチキャリア
EV-D Rev.Aのキャリア(搬送波)を同時に最大3本まで利用することで、データ通信の高速化を実現する技術となります。データ送受信を効率化できるため、通信速度がEV-DO Rev.Aと比較して最大3倍になります。
3G | 3.5G | |||
方式 | CMDA2000 1x | EV-DO | EV-DO Rev. A | EV-DOマルチキャリア |
---|---|---|---|---|
速度 | 最大144kbps | 最大2.4Mbps | 最大3.1Mbps | 最大9.2Mbps |
変更内容 | データ通信に最適化 | 変調方式の追加 | 周波数幅を3倍 |
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