
- NXP Semiconductors N.V.
- NEXT Mobility
| 評価ボード名 | イメージ | Target MCU | CPUコア | Program Flash | PIN数 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| FRDM-A-S32K118 | ― | S32K118 | Arm® Cortex®-M0+ @ 48 MHz | 256KB | 64 LQFP | エントリー向け (LIN/CANエンドノード) |
| FRDM-A-S32K144 | ― | S32K144 | Arm® Cortex®-M4F @ 112 MHz | 512KB | 100 LQFP | ミドルレンジ (LIN/CANエンドノード) |
| FRDM-A-S32K312 | ![]() | S32K312 | Arm® Cortex®-M7 @ 120 MHz | 2MB | 172 HDQFP | ハイパフォーマンス (OTAサポート) |
| FRDM-A-S32K344 | ![]() | S32K344 | Arm® Cortex®-M7 (1xM7 LS) @ 160 MHz | 4MB | 172 HDQFP | ハイパフォーマンス (OTAサポート・ASIL-D対応) |
| FRDM-A-S32K358 | ![]() | S32K358 | Arm® Cortex®-M7 (1xM7 LS +1xM7) @ 240 MHz | 8MB | 289 BGA | ハイパフォーマンス (OTAサポート・ASIL-D対応・SDカードコネクタ搭載) |
| FRDM-A-S32M276 | ![]() | S32M276 | Arm® Cortex®-M7 @ 120 MHz | 1MB | 64 LQFP-EP | モーター制御 (LIN or CAN Phy, Gate Driver Unit, 12V regulator内蔵) |
車載システムの開発では、ソフトウェアの大規模化や安全・セキュリティ対応の必要性が高まり、開発負荷が増大しています。
一方で、短期間での試作や評価を求められる場面も多く、効率的な開発環境の構築が課題となっています。
本記事では、NXPの「FRDM Automotive※」を活用することで、評価から試作、さらには量産開発までを効率化できるポイントについて解説します。
※FRDM:NXPが提供する評価ボードの名称で、「フリーダム」と読みます。
関連情報
Cortex-Mを搭載した代表的なNXPマイコン
- S32K1 車載向け汎用マイクロコントローラ
- S32K3 車載向け汎用マイクロコントローラ
- FRDM使ってみた!(Coming soon)
FRDM Automotive の概要説明
近年の車載システム開発では、電動化・高度化・コネクテッド化の進展に伴い、制御ソフトウェアの大規模化や機能安全・サイバーセキュリティ対応といった課題が顕在化しています。その一方で、市場投入までの期間(Time to Market)の短縮も強く求められており、開発の効率化・迅速化が重要なテーマとなっています。
こうした背景の中、NXPが提供する「FRDM Automotive」は、車載MCUの評価・試作開発を効率化することを目的とした統合開発プラットフォームです。本プラットフォームは、以下の要素から構成されています。
- MCU評価ボード(FRDM-A-S32Kシリーズなど)
- 各種アプリケーション拡張ボード
- 統合開発環境およびミドルウェアを含むソフトウェアパッケージ
- 豊富なサンプルコードを提供するApplication Code Hub
これらを組み合わせることで、評価段階からアプリケーション開発、さらには量産設計への移行までを一貫して支援する環境が構築されていることが特徴です。
また、FRDM Automotiveは、NXPの代表的な車載MCUファミリであるS32シリーズ(S32K1 / S32K3 / S32M2)に対応しており、同一の開発コンセプトで異なる性能レンジのデバイスを扱うことが可能です。これにより、試作フェーズでの検討結果をそのまま上位デバイスへ展開するなど、スケーラブルな開発フローを実現できます。
図1 FRDM-A-S32K312(出典:nxp.com)
ハードウェアの特徴
FRDM Automotiveのハードウェアは、車載用途を意識した機能を備えつつも、コンパクトかつ安価な評価環境として提供されている点が大きな特長です。初期検討段階から導入しやすく、PoC用途にも適しています。
基本構成と特徴
- コンパクトで扱いやすいボードサイズ
- 安価に導入可能な設計(初期評価のハードルを低減)
- Arm Cortex-Mシリーズ(M0+ / M4 / M7)を採用
- 車載通信に必要なCAN / LINのPHYを搭載
- PMIC(FS23 / FS26)を組み込み、電源構成の簡素化を実現
これにより、開発初期段階で必要となる電源設計や通信評価の検証をボードレベルで迅速に開始できる点が特徴です。
幅広いラインアップ
FRDM Automotiveでは、用途や性能要件に応じて複数のボードが用意されています。
このラインアップにより、ボディ系ECUからモーター制御、さらにはドメイン制御に応じた評価環境まで幅広く対応可能です。
拡張性(Expansion Board)
さらに、NXPのFRDMプラットフォームはすべてArduinoシールドと呼ばれるピンヘッダを採用しており、拡張ボード(Arduinoシールド)との組み合わせによって機能を柔軟に拡張できます。
NXPが提供するArduinoシールドの一例に加え、他社が提供するArduinoシールドとも容易に接続・評価することが可能です。
| 評価ボード名 | イメージ | 概要 |
|---|---|---|
| FRDM-XS2410EVB | ![]() | FRDM-XS2410EVB FRDMボードは、内蔵のXS2410のすべての機能を検証できます。 |
| DEVKIT-MOTORGD | ![]() | DEVKIT-MOTORGDは、NXPのDEVKITプラットフォーム向け統合型モーター制御シールドです。 |
| SJA1124EVB | ![]() | SJA1124EVBは、SJA1124 SPI-QuadLINブリッジの評価ボードです。 |
| DEVKIT-COMM | ![]() | DEVKIT-COMMは、既存のEVBに接続することで、最大4つのCAN接続と6つのLIN/SCI接続を追加できるアダプタボードです。 |
| TJA1128EVB | ![]() | TJA1128EVBは、TJA1128 LINミニシステムベースチップ用の評価ボードです。 |
これにより、単なるMCU評価に留まらず、実際のアプリケーションに近いシステム構成での検証が可能となります。
ソフトウェアの特徴
FRDM Automotiveのもう一つの特長は、ハードウェアに加えて統合されたソフトウェア環境が提供されている点です。これにより、開発環境の立ち上げに要する時間と工数を大幅に削減できます。
統合ソフトウェア構成
- S32 Design Studio(統合開発環境)
- Real-Time Drivers(RTD)(デバイスドライバ、および、AUTOSAR MCAL)
- 通信スタック(CAN / LIN / TCP/IPなど)
- リアルタイムOS(FreeRTOS等)
- セーフティおよびセキュリティ関連ソフトウェア
※S32 Design Studio,および、RTDは無償でご利用いただけます。
開発効率向上のポイント
簡易な環境構築:
ソフトウェアは統合パッケージとして提供され、容易にインストール可能です。これにより、環境構築にかかる時間を大幅に短縮できます。
事前検証済みソフトウェア:
ドライバやミドルウェアは事前に動作検証されており、開発初期のトラブルを低減します。これにより、設計リスクの低減と品質向上に寄与します。
ソフトウェアインストールバンドル
Automotive Software Package Managerを通じて、MCUファミリごとに専用バンドルが提供されています。
Application Code Hubの活用
NXPが提供するApplication Code Hubには、以下のような実用的なサンプルコードが豊富に用意されています。
- CAN通信
- Ethernet通信
- モーター制御
- センサインターフェイス
- LED制御、UART通信など
これらを活用することで、短時間で「動くシステム」を立ち上げることが可能となり、アプリケーション開発に集中することができます。
図2 Application Code Hub(出典:nxp.com)
Application Code Hubには、以下のURLからアクセスできます。
https://mcuxpresso.nxp.com/appcodehub
また、S32 Design StudioのDashboardにある「Import Project from Application Code Hub」をクリックすることで、Application Code Hubへ簡単にアクセスすることも可能です。
図3 S32Design StudioからApplication Code Hubを起動
NEXTYの活動紹介
ネクスティ エレクトロニクスでは、FRDM AutomotiveをはじめとしたNXP製品を活用し、お客様の車載開発を総合的に支援しています。
1. 販売・製品提案
- お客様のアプリケーションに応じた最適なMCU/評価ボードの選定
- PMICや通信ICを含めたトータルシステム提案
- 将来の量産スケールを見据えたデバイス選定支援
2. 技術サポート
- 開発環境構築(IDE、ソフトウェアパッケージ)の導入支援
- サンプルコードの活用方法に関するサポート
- CAN/LIN通信やモーター制御などのアプリケーション技術支援
- NXPとの連携による高度な技術課題への対応
3. PoC/試作支援
- FRDM Automotive評価ボードを用いたPoC実施支援
- 短期間でのプロトタイプ開発支援
- 実機評価に基づく課題抽出と改善提案
4. 量産開発への橋渡し
- 評価環境から量産設計への移行支援
- ソフトウェア資産の流用・最適化提案
- 安全・セキュリティ要件への適用支援
5. 技術ブログによる情報提供(今後の予定)
また、ネクスティ エレクトロニクスでは、初めてNXPの車載マイコン評価ボードを使用されるお客様向けに、「実際にボードを使ってみた」内容の記事の公開を予定しています。本記事では、
- ボード立ち上げ手順
- 開発環境構築の具体的な流れ
- サンプルコードの実行結果
- 実際に使用する際のポイント
など、実務に直結する情報を発信していく予定です。
まとめ
FRDM Automotiveは、単なる評価ボードではなく、PoCから量産開発へとつながる開発基盤として活用することができます。
ご興味をお持ちの方は、ネクスティ エレクトロニクスまでお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ
関連製品情報

NXP おすすめアナログIC製品の紹介 ECU開発を支える「見えない主役」
NXPの車載ECU向けアナログIC製品を、センサー、RTC、表示、通信、電源など周辺機能を支える部品として紹介しています。
- NXP Semiconductors N.V.
- NEXT Mobility

NXPの信号改善機能(SIC)を搭載したCANトランシーバー製品の解説
NXPのSIC搭載CANトランシーバーは送信側でリンギングを能動的に抑え、CANFDの高速通信を安定化し、ソフト互換やピン互換で既存設計に置換可能、車載規格に準拠します。
- NXP Semiconductors N.V.
- NEXT Mobility

NXPの車載向けLEDドライバーの紹介
NXPの車載向けLEDドライバーをご紹介します。定電圧・定電流や高精度PWM、I2C/SPI対応で、複数LEDや表示器の調光に適した製品群です。
- NXP Semiconductors N.V.
- NEXT Mobility

NXPの車載向けPMICの魅力を徹底解説 (Page 2/2) | NXPの車載PMICポートフォリオと代表製品の特徴を解説
車載ECUにおけるPMICの必要性とNXPの車載向けPMICの特徴、魅力、ポートフォリオについて、解説します。今回は車載PMICポートフォリオと代表製品の特徴です。
- NXP Semiconductors N.V.
- NEXT Mobility

NXPの車載向けPMICの魅力を徹底解説 (Page 1/2) PMICの基礎、NXPの車載PMICの特徴
車載ECUにおけるPMICの必要性とNXPの車載向けPMICの特徴、魅力、ポートフォリオについて、解説します。今回は、 PMICの基礎、NXPの車載PMICの特徴です。
- NXP Semiconductors N.V.
- NEXT Mobility

NXPの車載マイコンS32K1の魅力を徹底解説
NXPの車載マイコンS32K1シリーズは、ARM Cortex-M0+およびM4Fコアを搭載し、高い処理能力と低消費電力を実現します。その魅力と特徴を徹底解説します。
- NXP Semiconductors N.V.
- NEXT Mobility
関連技術コラム

オシロ不要!ARM-Cortex M DWT CYCCNTで始める高精度時間測定 ─ 最小ステップで使える実践ガイド
DWT CYCCNTを使い、外部機材不要でARM Cortex‑M上の高精度な時間測定手順と実践ポイントをわかりやすく解説します。

i.MX 93で作るリアルタイムAI追尾カメラ - NPU×サーボモータで人物トラッキングを実現
i.MX 93搭載NPUとeIQを用い、Yocto BSP構築からPWM設定、サーボ制御で顔検出を行い人物をリアルタイム追尾するカメラ構築手順を解説します。

bitbakeが生成するディレクトリを徹底解説|Yocto開発のトラブルシュートに必須
bitbakeのtmp以下(work、work-shared、deploy等)の構成と用途、ログ確認やdeb配信によるYoctoトラブルシュート手順を解説します。

Azure RTOS ThreadX 実践ガイド:タスク管理と通信機能の実践解説
Azure RTOS(ThreadX)でのマルチタスク設計とメッセージキューなど通信機能を解説します。

Azure RTOSの第一歩:AzureRTOSを使用した「Hello World」プロジェクト作成
Azure RTOS(ThreadX)をi.MX RT1170評価ボードで使い、Hello Worldの作成とビルドやデバッグ手順を解説します。

i.MXの開発環境を構築してみた (Yocto編) | 技術コラム
NXPのi.MXシリーズを用いたYocto開発環境の構築方法解説。ハードウェア、事前準備、ビルド手順を紹介、i.MX評価ボードのイメージ書き込み準備をサポートします。









