日常生活や産業現場で欠かせない電流センサーの役割と種類について解説します。電流センサーは機器の正常動作を確認するために重要な要素であり、選定時の注意点や検知方法についても詳しく紹介します。
私たちは、日常生活を快適に過ごすための電子機器に囲まれて暮らしています。
スマートフォンをはじめ、冷蔵庫や洗濯機、エアコンなど、数え上げればきりがないほどの機器があります。また、建設業や農業、エネルギー産業を含むさまざまな現場では、生産性の向上や作業効率化を図るために産業用機器が活用されています。もはや、これらの機器がなければ何も始まらないと言っても過言ではありません。
そんな機器に多く使われているのが『電流センサー』です。電流センサーは、機器内部の電子回路が正しく動作しているかどうかを確認するために、電流を検出する役割を果たします。本記事では、電流センサーの種類や、それぞれがどのような方法で電流を検知しているのかについてご紹介いたします。簡単そうに見えて、意外と落とし穴がある電流センサーを選ぶ際に、参考にしていただける記事です。
電流センサーとはどういうものかを知る
電流センサーとは、電子回路に流れる電流を測るためのものです。それだけでなく、家庭、職場、交通機関はもちろん、医療現場に至るまで、さまざまなモーターを使った機械を動かすことや、電気が流れすぎることで機械が壊れないようにすることも電流センサーの役目です。
特に意識していただきたいのは、機械の種類だけでなく、どのように動かしたいかによって電流センサーの使い方が異なる点です。これを誤ると、センサーが機能しなくなる可能性があるため、注意が必要です。例えば、測定する電気の大きさが異なる場合に、問題が生じます。
電流は小さいものであれば1ミリアンペア程度から、大きいものであれば数千アンペアまで幅広く存在します。また、直流や交流といった接続方式の違いによっても、適切な電流センサーは変わってきます。こうしたさまざまな違いを理解した上で、目的に応じた最適な電流センサーを活用することが重要です。
それでは、どのような電流センサーがあるのでしょうか?一緒に探ってみましょう。 まず知っておきたいのは、電流センサーの種類です。主に以下の3つのタイプがあります。
1.抵抗検出型
2.コアあり磁場検出型
3.コアなし磁場検出型
これらの違いは、検出方法にあります。次に、それについて詳しく説明します。

電流の検出における3つの方法と特徴
電流センサーは、3つのパターンがあり、タイプごとに検出方法が異なります。
それぞれに異なる特徴があるため、それを理解したうえで、使用するようにしましょう。
1.抵抗検出型
シャント抵抗という抵抗器を使って電流を検出する方法です。
電流を検出するときの回路内で、直列になっているシャント抵抗の両端の電圧がどれくらい下がるのか、その差によって電流値を測ります。
測定できる範囲は、0A~±50Aが一般的です。
2.コアあり磁場検出型
センサー内のコア(ドーナツ状の磁気素材)で捉えた磁場の大きさで電流値を検出する方法です。
そのコアで電流線を囲み、電流線から出る磁場の変化を感知することで電流の大きさを測ります。
測定できる範囲は、0A~±2000Aが一般的です。
3.コアなし磁場検出型
電流センサーのIC内部にあるホール素子と呼ばれる部分で電圧を測り、その大きさから電流の大きさを検出する方法です。
コアレスとも呼ばれる方式で、コアを使わない代わりにホール素子というものが使われます。磁場を感知したホール素子が電圧を作り出すことで、電流を検出します。
測定できる範囲は、0A~±50Aが一般的です。
1~3の解説の通り、検出方式によって扱える電流量が異なります。ただし、測定できる範囲は、製品の仕様や使用環境、条件などによってさらに変わるため、仕様書やデータシートで必ず確認する必要があります。
また、磁場検出型は、コアのあるものとないもの(上述の2と3)で検出する回路の中での向き・不向きが分かれます。この点について、次の項目でさらに詳しく説明します。

3つの電流センサーの、電流検出における特徴
電流センサーは、3つのパターンがあり、タイプごとに検出方法が異なります。
それぞれに異なる特徴があるため、それを理解したうえで、使用するようにしましょう。
上記通り、磁気電流センサーはの電流を測る対象によって測定の向き・不向きがあります。それぞれのセンサーの測定における特徴について、さらに詳しく説明します。
デメリットでいえば、一つは、コスト面です。IPDは半導体であるため、そうではないメカニカルリレーやメカニカルヒューズと比較すると、コストが高くなりやすい側面があります。ただし、IPDの全ての機能が必要になるケースはそう多くはないはずです。必要な機能だけを選別し、それらを持つIPDに絞ることでコスト削減が可能になります。また、設計段階で再利用可能なブロックを作成しておくことで、結果的にコストを下げることができます。
次に、設計工数です。先に記したようなメカニカルな部品と比較して設計工数が多くなる可能性があります。というのも、IPDは、内部構造が複雑になっているため、基本的な機能はスイッチではあるものの、そこに付加機能を組み込んでいくため、これらの設計や統合に工数がかかってしまいます。
また、各ブロックが正確に機能するかどうか評価テストも必要です。やるべきことが多く、全体的に工数が多くなりやすいという結果を生んでいます。ただ、手をかけた分だけ高度な機能を確保できるため、さらに信頼性が高まります。その結果、大きなデメリットにはならないといえるのではないでしょうか。
最後に、制御不能のリスクのことをお伝えします。過電流に対しては保護機能が働きますが、定格で流れてくる電流に対しては保護機能が働きません。そのため、IPDの出力側の回路によっては、制御不能に陥るリスクがあります。ただし、これに対してリスクを軽減する方法もあります。それは、アクティブクランプという回路を用いることです。
アクティブクランプとは、スイッチがOFFになったときに発生する“電気が逆方向に流れる力”を吸収して正しい方向に流し、スイッチが損傷するのを防ぐ回路です。この機能が働くことで、スイッチが予想していなかった動作をするリスクを軽減できます。
IPDにはいくつかのデメリットがありますが、それらにはすべて対処方法があるため、特別大きな問題にはならないとご理解ください。

目的に合わせた電流センサーを選ぶ際の4つのポイント
電流センサーを選ぶ際は、次の4つのポイントを押さえて選びましょう。
ポイント1.測定したい電流の範囲は?
どの電流センサーも、測定できる範囲が決まっています。たとえば、1Aの電流を測定したい場合、その範囲をカバーしている電流センサーを選ぶ必要があります。センサーの測定可能な範囲については、仕様書やデータシートで確認できます。
ポイント2.どの程度の測定精度を求めるか?
測定の精度が高いほど、結果への信頼性も高まります。そのため、高い精度のものを選びたくなるかもしれません。しかし、精度が高い分、価格も高くなる傾向があります。どの程度の精度であれば許容できるのか、あらかじめ求める精度の範囲を決めておきましょう。
ポイント3.サイズと形状はプロジェクトに合っているか?
電流センサーは、タイプによってサイズや形状が異なります。大きすぎると取り付けに必要なスペースが増え、設計をやり直す必要が出てくることもあります。反対に小さすぎると、設置を含めた取り扱いが難しくなる可能性もあるため、適切なサイズや形状を考慮して選ぶことが重要です。
ポイント4.予算はどれくらいか?
同じタイプの電流センサーであっても、その価格は仕様やメーカー、材質などによってさまざまです。まずは相場を調べることから始めましょう。あまりにも安価なセンサーは、精度や耐久性の面で不安が出てくることがあるため、相場を目安に予算を決めておくと、センサー選びの失敗を防ぐことができます。
これらのポイントを押さえて、さまざまな種類から比較検討することをおすすめします。

まとめ
電流センサーを選ぶ際は、次の4つのポイントを押さえて選びましょう。
電流センサーは、電子回路に流れる電流量を測定するための装置ですが、大きすぎる電流は機械を壊す原因になります。また、小さすぎる電流では回路が正常に動作しません。このような電気トラブルを防ぐ役割を果たすのが電流センサーです。
しかし、これまでに説明したように、電流センサーの種類によってはメリットやデメリットがさまざまに存在します。それを知らずに選んでしまうと、トラブルを引き起こす可能性があります。4つのポイントを押さえて、目的に合った電流センサーを選ぶようにしましょう。