LEDは私たちの日常に広く使われていますが、その点灯方式にはさまざまな選択肢があります。 本コラムでは点灯方法の違いが、LEDの使い方にどのように影響するのかについて解説していきます。
LEDは私たちの日常に広く使われていますが、その点灯方式にはさまざまな選択肢があります。
本コラムでは点灯方法の違いが、LEDの使い方にどのように影響するのかについて解説していきます。
定電流駆動・定電圧駆動
LEDの特性として、順方向電流が大きくなるとより明るくなります。
この特性を考慮してLEDを駆動させる必要があり、電流と電圧それぞれを一定にしてLEDを駆動させる方式を定電流駆動・定電圧駆動と呼びます。

定電流駆動
定電流駆動ではLEDに流れる電流を一定に保つことで、明るさが安定します。
この方式は、LEDの熱暴走を抑えることができ、温度変化やLEDの個体差による明るさの変動を抑えることができます。
ただし、定電流を維持するための電子部品や回路設計が必要となりコストの増加・ドライバー回路が複雑になることがあります。
定電圧駆動
一方、定電圧駆動は回路が比較的シンプルで設計が容易なため、コストを抑えることができます。
しかし、LEDの順方向電圧には個体ごとのばらつきがあるため各LEDに流れる電流が異なり、結果として明るさのばらつきが生じることがあります。
たとえば、温度が上昇すると順方向電圧が減少しそれに伴って順方向電流が大きくなります。
したがって、LEDの特性においては、個々のLEDの電圧のばらつきが明るさのばらつきにつながるのです。

直列接続と並列接続
LEDを複数個使用する際の接続方法についてご紹介します。
接続方法にはLEDを直列に接続する場合と並列に接続する場合があるのでそれぞれの場合について見ていきましょう。
直列接続
直列接続では、LEDを一列に並べて接続します。この場合、各LEDには同じ大きさの電流が流れ、全体の順方向電圧は各LEDの順方向電圧の合計になります。
メリット
・直列接続は回路がシンプルで、配線が少なくて済みます。
・同じ電流が流れるため、すべてのLEDが均一な明るさで点灯します。
デメリット
・直列接続のLEDのいずれかが故障すると、回路全体のLEDが不点灯となってしまいます。
・LEDの数が増えると、必要な電圧も増加し、電源の選定が難しくなることがあります。

並列接続
並列接続では、LEDをそれぞれ独立して接続します。この場合、各LEDには同じ電圧がかかりますが、各LEDの順方向電圧が異なる場合、流れる電流はLEDごとに異なります。
メリット
・一つのLEDが故障しても、他のLEDは点灯し続けるため、全体の信頼性が向上します。
・各LEDに異なる電流を流すことができるため、異なる特性のLEDを組み合わせて使用することが可能です。
デメリット
・各LEDのVfが異なると、流れる電流が不均一になり、明るさにばらつきが生じます。
・複数のLEDを並列接続する場合、各LEDに適切な電流を流すための設計が必要になります。

LEDドライバICの種類
LEDドライバーとはLEDを点灯させる際、LEDの駆動・制御に使用されるIC部品のことです。
LEDドライバーを使用することで、電流制御の精度、熱管理、複雑な制御機能の実装、負荷の分散、効率的な電源管理、設計の簡素化、ノイズ耐性、拡張性など、多くのメリットがあります。
マルチチャンネル方式ドライバ
マルチチャンネル方式は、複数の独立したチャンネルを持つLEDドライバを使用して、各チャンネルごとに異なるLEDを制御する方法です。
この方式では、各チャンネルが個別に電流や電圧を制御できるため、異なるLEDの明るさや色を独立して調整することが可能です。
複数の単色LEDについて個別に制御するほか、RGB
LEDの各チップについて個別に制御することで調光も可能です。

マルチチャンネル方式のLED driver例
マトリクス方式ドライバ
LEDを格子状に並べたものをドットマトリクスLEDと呼び、液晶のバックライトやサイネージなどで使用されます。
これはLEDに対応する行と列を制御することで特定のLEDを点灯させる仕組みです。
個々のLEDを個別に制御するマルチチャンネル方式とは異なり、ドットマトリクスLEDを駆動させる場合、行と列で制御します。

マトリクス方式のLED driver例