微小な信号を扱うオペアンプでは、そのピュアな信号に混入する雑音、いわゆるノイズが問題になることがあります。
オペアンプ自身が発生源となるノイズと外部から混入するノイズがあり、扱う信号に対しどちらがより影響を与えるかよく理解した上でそれぞれに対して適切に対策する必要があります。
ここでは、オペアンプ自身が発生源となるノイズについて説明します。
オペアンプで発生するノイズ
オペアンプのノイズは、大きく分けて以下の2種類からなると考えられます。
- 周波数に依存しないノイズ
- 周波数に依存するノイズ
周波数に依存しないノイズ
周波数に依存しない、つまり周波数に相関なくランダムに発生するノイズであり横軸を周波数、縦軸をノイズ密度とするグラフを描いた際に、フラットな特性を持ったノイズのことでホワイトノイズと呼ばれます。
周波数に依存するノイズ
周波数に依存する、つまり周波数によって大きさのかわるノイズで、周波数に反比例して小さくなることから1/fノイズ(フリッカノイズ)と呼ばれます。
その傾きは10dB/decで下の図のように横軸、縦軸とも対数で表示した場合、直線に見えます。
上の図からわかるように周波数が低くなるほど周波数に依存した1/fノイズが大きくなっています。
逆に周波数が高くなると1/fノイズが小さくなっていき、周波数に依存しないホワイトノイズの方が大きくなるため、高周波ではフラットな特性が現れます。
ここで、1/fノイズとホワイトノイズが入れ替わる、つまり同じレベルになる周波数をコーナー周波数と呼びます。
オペアンプ自身の持つ帯域もありますが、オペアンプを使った回路で制限される帯域がこのコーナー周波数よりも十分高い場合、1/fノイズはほとんど無視することができます。
上の図は先ほどのグラフと同じですが、対数ではなくリニアに表示したものです。
横軸の最大が1MHzとなっていますが、トータルのノイズはノイズ密度を積分していったものなので、全体でみると1/fノイズの影響が小さくなることが理解できると思います。
ノイズ密度について
上記では、当然のように「ノイズ密度」という言葉を使いましたが、この言葉や「V/√Hz」という単位にあまり馴染みのない方にとっては、理解のハードルが高くなっているのではないかと思います。
そもそもノイズ密度とは
ノイズは広い周波数領域にわたって分布していて、周波数によってそのエネルギーの大きさが異なる場合がほとんどです。
ノイズを分析するときにどの周波数のエネルギーが大きいのか、逆にどのエネルギーが小さいのかを確認するため、ノイズの大きさを単位周波数あたり、つまり帯域幅1Hzあたりの電力(エネルギー)として表現しています。
これをノイズ電力密度といい、W/Hz(1Hzあたりの電力)で表します。
しかし、電気回路の世界では、ノイズは電力でなく電圧で考える方が便利なことが多いため、ノイズ電圧密度が使われます。
電力は電圧の2乗に比例することから、ノイズ電圧密度ではV/√Hzという単位を使います。
2乗に比例するならV2/Hzではないか、とツッコミが入りそうですが、そのとおりです。
しかし、Vの2乗で記載されると、じゃあ、結局何Vのことなの?と、電卓をたたくことになるので、V/√Hzと少し馴染みのない表現が使われているのです。
ノイズの大きさについて
周波数ごとのノイズの大きさを表現する方法として、ノイズ密度について説明しましたが、ノイズ全体の大きさを表す方法について説明します。
オペアンプの場合、実効値(rms)で表すことが多いです。
これは、ある周波数範囲でその範囲のノイズ成分の総和です。
電圧ノイズでは、ノイズ源V1,V2,V3,・・・と互いに無相関のノイズ源があった場合、その総和は2乗和となります。
ノイズ源V1,V2・・・は各周波数毎のノイズ、つまりノイズ密度に帯域幅をかけたものと考えることができます。
各周波数でのノイズ密度の値に、計算する帯域幅(BW)をかけたものがノイズ源であり、これを周波数範囲内すべての2乗和を取ったものがノイズの実効値(rms)となります。
帯域幅BWを100Hz、周波数範囲10kHzとすれば、100Hzごとにノイズ源が計算され、100個のノイズ源の2乗和をとることになります。
ホワイトノイズの場合、ノイズ密度は周波数によらず一定なので、ノイズ密度×周波数範囲で計算できます。
仮にノイズ密度10nV/√Hz、10kHzまでのノイズを求めると
となります。
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