電源ICの種類
電気製品を動かすためには、その電気製品それぞれに求められている電圧が必要になります。
ある電圧から必要な電圧に安定して変換する機能を持っているものが電源ICと呼ばれます。
電源ICは以下の図のように大きく分けて「リニアレギュレーター」と「スイッチングレギュレーター」の2種類があります。
さらにリニアレギュレータは「シリーズレギュレーター」と「シャントレギュレーター」の2つの方式がありますが、共に降圧(電圧を下げる)しかできません。
一方スイッチングレギュレーターでは数多くの方式があり、方式に応じて降圧だけでなく、昇圧(電圧を上げる)、昇降圧(電圧を上げる&下げる)、反転(電圧をマイナスにする)ことができます。

シリーズレギュレーター と スイッチングレギュレーター の比較
電源を設計する際、まず最初にシリーズレギュレーターかスイッチングレギュレーターのどちらを選ぶかを検討しなければいけません。
電源で重要な項目について、シリーズレギュレーターとスイッチングレギュレーターで比較した表が以下になります。
基本的に部品点数が少なく、設計が簡単でコストが安いリニアレギュレーターが使用可能かどうかを考えます。
リニアレギュレーターの短所は一般的に効率が低く、負荷電流が高い場合に使用できない点です。
これらの短所が許容できない場合にスイッチングレギュレーターの採用を検討します。
スイッチングレギュレーターは種類によりますが、95%前後の高効率が長所です。
しかし、負荷電流の大きさに応じて変動し、特に軽負荷(負荷電流が小)の場合、効率は大きく低下します。
各電源メーカーは軽負荷時の効率を改善のためにさまざまな工夫を行っています。
通常データシートに負荷電流に応じた効率カーブが記載されていますので、そちらを参考に使用の可否を検討します。
それぞれの長所と短所を踏まえ、目的に合った方式を選択することが重要です。
リニア レギュレーター | スイッチング レギュレーター | |
---|---|---|
動作モード | 降圧のみ | 降圧 昇圧 昇降圧 反転 |
効率 | △ ※入力電圧と出力電圧の 差分が小さい場合は 高効率 | 〇 ※軽負荷(出力電流が小さい) 場合は効率悪化 |
負荷電流(出力電流) | △ | 〇 |
回路面積 | 〇 ※ヒートシンクが 必要になる電力の場合、 大きくなる | △ |
出力ノイズ/リップル | 〇 | △ |
部品点数 | 〇 | △ |
トータルコスト | 〇 | △ |
設計難易度 | 〇 | △ |
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