VD(ボルテージディテクター)の機能と利用用途を解説。電圧低下時のリセット、電源起動時のリセット解除、電池電圧の監視など、VDの重要な役割を紹介します。
VD(ボルテージディテクター)とは?

VD(ボルテージディテクター)とは、その名の通り、電圧を監視する製品です。
電圧検出器、電圧監視IC、リセットICなどとも呼ばれます。
リセットICと呼ばれる理由は、VD(ボルテージディテクター)の使い方として、マイコンの電源電圧を監視し、起動時のパワーオンリセットや電圧の異常を検知した際に、マイコンが正常に動作しない(暴走)を防ぐためのリセット信号を出力するためです。
本コラムでは、VD(ボルテージディテクター)が、どのような場面で主に使われているのかをご理解いただけます。回路設計上の保護や制御などの検討にお役立てください。
VD(ボルテージディテクター)の利用用途
1. 電圧低下時のリセット

上記のような、3.3Vで動作するマイコンの場合、2.97V~3.63V(±10%)以外の電圧では、マイコンが正常に動作しない可能性があります。
リセットICは、マイコンが正常に動作している間に電圧低下があったことを検出し、リセット信号を出力します。
2. 電源起動時のリセット解除
入力電圧がマイコンの動作電圧以上になってから、マイコン内部のクロックが安定し、レジスタの初期化が完了するまでの時間が経過するのを待機します。これを、解除遅延時間と言います。
その間、入力電圧の低下等がなければ、マイコンにリセット解除信号を送ります。
これにより、マイコンを安全に起動させることができます。
解除遅延時間の長さは、マイコンの仕様で決まります。数十ms~数百msが多いです。

3. 電池電圧の監視
電池は、残量が減ると急激に電圧が下がります。
この電圧低下で後段システムの動作電圧外になると、誤動作を引き起こす可能性があります。
リセットICを使って電池の電圧で監視することで、後段システムの動作電圧範囲外になる前にリセットをかけることができます。
したがって、後段システムの誤動作を未然に防ぐことが可能です。

4. マイコン内蔵のリセット機能と二重監視
マイコンにリセット機能が内蔵されている場合も多くあります。
ただし、車載機器や産業機器など高い信頼性が求められる機器では、万がーマイコンが不具合を起こしてリセット機能が働かない場合のバックアップとして、外付けのリセットICを併用することで安全性を高める対策をするケースがあります。

5. 電圧上昇時のリセット
車載機器や産業機器など、高い信頼性が求められる機器では、電圧の低下だけでなく電圧の上昇についても監視が要求されます。

VD(ボルテージディテクター)が検知する電圧と領域を1つの絵で表してみると…

VD(ボルテージディテクター)が検知する電圧と領域
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