VD(ボルテージディテクタ)とはその名の通り、電圧を監視する製品です。
電圧検出器、電圧監視IC、リセットICなどの呼び方もあります。
前回はVD(ボルテージディテクタ)の主な使われ方をご紹介しました。
今回は、VD(ボルテージディテクタ)の主な回路要素と、全てではないですが、種類によっての特長をご紹介します。
VDの内部ブロックと主な回路要素

出力ドライバーの形式(CMOS/オープンドレイン)について
リセットICの出力形式にはNMOSFETオープンドレインとCMOSの2種類があります。
リセットICの電源電圧とリセット信号を受けるマイコンの電源電圧が同じかどうかで使い分けます。
リセットICとマイコンが同電源系の場合は、CMOS出力が使用可能です。
別電源系の場合は、NMOSFETオープンドレイン出力を使用します。オープンドレイン出力は、出力端子をマイコンのI/O電源にプルアップすることで、マイコンに最適な入力電圧を設定可能です。
NMOSFETオープンドレイン出力 (Nchオープンドレイン出力) | CMOS出力 | |
---|---|---|
ブロック図 | ![]() | ![]() |
使用回路箇所 | さまざまな回路で使用可能 | 決まった信号仕様の回路で使用可能 |
メリット |
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デメリット |
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種類と特長について
SENSE端子分離型
一般的なリセットICの電源端子(VIN)は、「ICの動作電圧を供給する役割」と「電圧を監視する役割」の2つを兼ねています(VIN検出型)。
SENSE端子分離型のリセットICは、「ICの動作電圧を供給する端子(VDD端子)」と「電圧を監視する端子(SENCE端子)」で分かれているタイプの製品となります。
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VIN検出型
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SENSE端子分離型
VIN検出型のタイミングチャート
①VIN電圧(監視電圧)が検出電圧より大きいのでリセット解除信号(Vout=“H”)を出力してます。
②VIN電圧が検出電圧を下回るとリセット信号(Vout=“L”)を出力します。
ICの最低動作電圧までは”L”を維持します。
③VIN電圧がさらに低下してICの最低動作電圧を下回った場合、ICの動作が不安定、または停止となり出力は不定となります。
④VIN電圧が上昇し最低動作電圧を上回ればICは正常動作となるため、再び”L”を出力します。
⑤VIN電圧が解除電圧を上回ると解除遅延時間後に出力は”H”となります。
後段がマイコンであれば、通常の動作を再開します。
VDD端子と電圧検出が共通の場合
(NMOSFETオープンドレインタイプ)

なぜ不定になる?
VINが最低動作電圧を下回ると出力NMOSトランジスタがOFFするため、出力抵抗のプルアップ先の電圧が出力されます。CMOS出力の場合も、出力“L”の状態から最低動作電圧を下回るとNMOSトランジスタがOFFになり、出力はVIN付近の電圧となります。さらにVINを下げ、PMOSトランジスタのしきい値を下回ると、出力はハイインピーダンスとなり不定になります。オープンドレイン出力、CMOS出力いずれの場合もVDDが0V~最低動作電圧付近で出力はVINに吊られて浮き上がります。
SENSE端子分離型のタイミングチャート
SENSE端子分離型は、VDD端子に動作電源電圧が供給されていればSENSE端子の入力電圧が低くても出力が不定になることが無いため、低い電圧を監視する回路に適しています。
①電源電圧(VDD)は十分に印加されているものとします。
SENCE電圧(監視電圧)が検出電圧より大きいので、リセット解除信号(Vout=“H”)を出力しています。
②監視電圧が検出電圧を下回るとリセット信号(Vout=“L”)を出力します。
VDDが十分印加されている状態であれば監視電圧がさらに低下していき、0V付近となってもICは正常動作を行いますので出力は”L”を維持します。
③監視電圧が増加していき解除電圧を上回ると解除遅延時間経過後に出力が”H”となります。
後段がマイコンであれば、通常の動作を再開します。
VDD端子とSENSE端子が分離している場合

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