「R/G/Bを混ぜても思った色にならない」「白が黄ばむ/青白い」「同じ製品でもロット差が出る」
開発現場でよくある課題は、LEDの色度(x,y)と明るさの管理、そして適切な混色計算で解決できます。
このコラムでは、RGB
LEDの混色原理からPWMと電流制御の違い、混色計算の具体的な手法まで、今日から使える色合わせのワークフローを実例ベースで解説します。
RGB LED
RGB LEDはR (Red)、G (Green)、B (Blue)3色のチップを1パッケージに収めたデバイスです。
RGBは光の三原色であり、この3色の光を重ね合わせることでさまざまな色を表現することができます。
例えば、赤と緑を混ぜれば黄色を、青と緑を混ぜればシアンを表現します。
チップの色度と明るさによって混色可能範囲が決まるので、データシートに記載された色度点を基に混色可能範囲を把握しましょう。
図1:RGB LEDイメージ
混色の制御方式の比較
制御方式はPWM制御とDC電流制御の2つがあります。
それぞれの特徴は以下のようになります。
表1:制御方法の比較
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| PWM制御 |
・一般的なLEDドライバーICやMCUのPWM出力で容易に色の制御可能。 ・十分な分解能・周波数を確保すれば滑らかな色変化が可能。 ・ソフト制御で色・明るさ・アニメーションの自由度が高い。 ・部品追加なしで色調整が可能で回路がシンプル。 |
・PWMビット数不足で低輝度の階調が粗くなる。 ・IFピークが定格超過にならないようDutyとパルス幅を管理する必要がある。 |
| DC電流制御 |
・抵抗のみで電流設定でき、回路が簡素。 ・PWM由来のフリッカが原理的に生じない。 ・制御IC不要で常灯用途に適合。 |
・明るさや色が電流でリニアに変化しないため、色合わせが難しい。 ・抵抗を用いる場合、物理交換が必要で手間・在庫コストが増加。 ・連続的なDuty比の制御ができないためグラデーション/アニメーションに不向き。 |
混色計算の手順
色の制御が容易に行えるという特長から、PWM制御におけるDuty比の計算方法について解説します。
目標の色と明るさを決める
目標の色と明るさを数値で定義します。
色はCIE1931色空間におけるx,y座標で表します。
例:(x,y) = (0.33,0.33)、Iv = 1.2 cd
各チップの測定
各チップを測定し、個別の色度、明るさを取得します。
光学測定装置について解説・当社所有の装置について説明した記事もございますので、お時間あればこちらの記事もご参照ください。
混色計算
混色計算を理解するうえで欠かせないのが、 XYZ表色系という色の表現方法です。
XYZ表色系は、人間の視覚の仕組みをもとに、あらゆる色を数値で表現できるようにした国際的な規格です。X・Y・Zは実在する色ではなく、理論上定義された仮想の原色ですが、これらを組み合わせることで、私たちが見ている色を正確に数値化できます。このX・Y・Zの値は三刺激値と呼ばれ、混色計算の基礎となります。ただし、XYZの値そのままでは色の見た目を直感的に把握しづらいため、正規化して得られるxとyを使って、色を2次元の平面上に表現したのがCIE1931色度図です。これにより、色の関係性や混色の結果を視覚的に理解しやすくなります。
RGB LED各チップの三刺激値に、PWMのDuty比を掛けて足し合わせることで、混色後のXYZ値を求めることができます。
ここで、それぞれの変数を以下のようにおくと、混色以後の3刺激値は式①で表すことができます。
赤チップの3刺激値:XR, YR, ZR、緑チップの3刺激値:XG, YG, ZG、青チップの3刺激値:XB, YB, ZB
目標色の3刺激値:XT, YT, ZT
赤チップのDuty比:DR、緑チップのDuty:DG、青チップのDuty:DB
図2:CIE1931色空間
この式をDuty比について求める形に変形すると式②となります。
ここで、三刺激値はCIE1931色空間での座標系(x, y)と明るさIを使って式③のように表すことができます。
従って、測定した各チップの明るさと色度座標より3刺激値を求めることができます。
式③を式②に代入し、各チップの色度座標と目標色との色度差に基づいて整理することで、式④のように変形することができます。
ケーススタディ
それでは実際にRGB LEDを用いて測定、混色計算をしてみます。
今回は目標値を(x, y)=(0.2, 0.3)、明るさ1.5cdとします。
次にRGB LED各チップの色度と明るさを測定します。
それぞれのチップについての測定結果は以下の通りです。
表2:各チップの測定結果
| チップ | 色度座標(x,y) | 光度[cd] |
|---|---|---|
| Red | (0.6982, 0.3017) | 0.5806 |
| Green | (0.2119, 0.7322) | 1.4698 |
| Blue | (0.1341, 0.0561) | 0.3266 |
図3:色空間における目標値
測定値を式④に代入し、行列式をDR、DG、DBについて解いていきます。
それぞれのDuty比について赤:約18%、緑:約83%、青:約51%と求まりました。
ソースメーターを用いて求めたDuty比にてRGB LEDを点灯させたものが図3です。
また、この時の色度と明るさを確認した結果を表3に示します。
色度、明るさどちらについてもほぼ狙い通りとなりました。
表3:混色後の測定結果
| 色度座標(x,y) | 光度[cd] |
|---|---|
| (0.2045, 0.3046) | 1.4999 |
図4:LED点灯(ケーススタディ)
まとめ
今回はRGB LEDの混色方法について解説させて頂きましたがいかがでしたでしょうか。
LEDの数が増えれば増えるほど、個体差により色合わせ工数が増加していきます。
そのため、実際には購入するLEDのランク内で代表値を用いて制御する方式をとることも珍しくありません。しかしこれでは、どうしてもLED個体ごとのバラツキが大きくなってしまいます。
当社で取り扱いのあるams OSRAM社のLEDには各チップに対して出荷時の明るさ・色度のデータが内蔵されたRGB LEDや、明るさ・色度情報にアクセスするための2次元コードが刻印されたRGB
LEDの取り扱いもございます。
混色についてお困りの場合や、上記RGB LEDにご興味をお持ちいただけましたら、お気軽にお問い合わせください。
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