はじめに
Wireshark(ワイヤーシャーク)は、オープンソースで開発され、誰でも自由にPCにインスートルして利用でき、多くの人に使用されているパケットキャプチャツールです。
Wiresharkを使用して、VLANタグ付きのイーサーネットフレームをキャプチャしたときに、VLANタグが表示されない問題に直面しました。
本コラムでは、この問題を解決するまでのプロセスについて、お話します。
VLANタグ付きのイーサーネットフレームを受信しても、VLANタグの表示なし
2つのPCをスイッチを介して、イーサーネットケーブルで接続し、一方のPCからVLAN付きイーサネットフレームを送信し、スイッチを介して、もう一方のPCが受信する図1の構成で、受信側のPC上のWiresharkで、受信イーサーネットフレームを確認したところ、VLANタグが消えてしまう現象が見られました。
送信側のPC上のWiresharkでは、VLANタグ付きのイーサネットフレームを送信していることが確認できました。一体、どこでVLANタグが消えたのか?
最初に疑ったことは、スイッチがVLANタグを取り除いているのではないか?ということでしたので、図2のようにPCどおしを直接接続して確認しましたが、VLANタグが消える現象は解決されませんでした。
Wiresharkの設定に原因がないか?
Wiresharkの設定が原因で、VANタグ付きのイーサーネットフレームがきちんと受信されていても、Wiresharkの画面上に出てこないのではないか?と考え、Wiresharkの設定を確認しましたが、そのような設定は見つかりませんでした。また、Wiresharkの送信ログでは、きちんとVLANタグが表示されていることより、この可能性はないと判断しました。
PCの設定に原因がないか?
インターネット上で、この現象が報告されていないか?調べている中で、PCのイーサネットインターフェイスのプロパティを変更すれば、この現象は解決できる、との情報がありました。この情報に従い、図3のように、”パケット優先度とVLAN”設定を“パケット優先度とVLAN無効”を変更しましたが、この現象は改善されませんでした。
イーサーネットコントローラーに原因がないか?(その1)
この現象の原因、解決方法が全くわからず、途方にくれていたときに、インターネット上で、“イーサーネットコントローラーの中には、イーサーネットフレーム受信時にVLANタグを取り除くものがある”との情報を見つけ、もしかして、これが原因なのでは?と思い、調査を開始しました。使用しているPCに搭載されているイーサーネットコントローラーは、このタイプのコントローラーかどうかの情報を見つけることができませんでした。そこで、別のイーサーネットコントローラーが搭載されているPCで、試してみましたが、この現象が改善されませんでした。
そこで、イーサーネットフレーム受信時にVLANタグを取り除かないイーサネットコントローラーを探すことにしました。
イーサーネットコントローラーに原因がないか?(その2)
イーサーネットフレーム受信時にVLANタグを取り除かないイーサーネットコントローラーを探していたところ、 ASX社のAX88179(USB to Ethernet変換デバイス)は、このタイプのイーサネットコントローラーであるとの情報が見つかりました。このデバイスが搭載されたPCを特定し、用意することができないため、この先、どのようにしたらよいか、悩んでおりましたが、AX88179が、USB to Ethernet変換デバイスであることから、このデバイスが搭載されたUSBイーサーネットアダプターが販売されている可能性があると思い、調べてみましたところ、Plugable Technologies社がリリースしている”Plugable USB 3.0 ギガビット イーサネット アダプター に、 AX88179が搭載されていることがわかりました。
早速、このアダプタ製品を入手することにしました。
Plugable USB 3.0 ギガビット イーサネット アダプターを使用
イーサーネットフレームを受信する側のPCに、 図5のように、Plugable USB 3.0 ギガビット イーサネット アダプターを使用して、Wiresharkの画面で、VLANタグが表示されるかどうか?、確認をしました。期待に反して、VLANタグの表示はされませんでした。
イーサーネットインターフェイスのプロパティ設定が必要ではないか?(解決策)
もしかしたら、前述したイーサーネットインターフェイスのプロパティ設定が必要ではないか?と考え、使用したPlugable USB 3.0 ギガビット イーサネット アダプターに対して、同様のプロパティ設定をしてみました。その結果、期待どおり、Wireshark画面に、VLANタグの表示がされるようになりました。
まとめ
本コラムでは、 Wireshark画面に、VLANタグ付きのイーサネットフレームを受信しても、VLANタグが表示されない現象を解決するまでのプロセスをお話ししました。PCに搭載されているイーサーネットコントローラーが、受信したVLANタグ付きイーサーネットフレームから、VLANタグを取り除いてしまっていたことが本現象の原因であることがわかりました。解決策の1つとして、受信したVLANタグ付きイーサーネットフレームを取り除かないイーサーネットコントローラーを採用しているUSB 3.0 ギガビット イーサネット アダプターの使用をご提案します。
同様の現象に直面されたときに、本コラムの内容が参考になれば幸いです。
お問い合わせ
関連技術コラム
関連製品情報

NXPの車載統合マイコンS12 MagniVの魅力を徹底解説
NXPの統合マイコンS12 MagniVは、ECUの小型化と短期開発を実現し、車載システムの電動化に貢献します。S12 MagniVの特長や利点を解説しています。
- NXP Semiconductors N.V.
- NEXT Mobility
- ICT・インダストリアル

車載アプリケーション向け高速伝送技術GMSL
高速伝送技術GMSLについて解説しています。
- Analog Devices, Inc.
- NEXT Mobility

音声インターフェイスの要「音源分離」技術の紹介 (アナログ・デバイセズ製品ユースケース)
ネクスティ エレクトロニクスが開発した音源分離システムは、複数の音源から運転手や助手席など特定の話者の音声のみを抽出する事ができます。
- Analog Devices, Inc.
- NEXT Mobility
- ICT・インダストリアル

GMSL2 設計の勘所
アナログ・デバイセズの次世代GMSL、GMSL2について特徴と、 設計の勘所を説明します。
- Analog Devices, Inc.
- NEXT Mobility

NXP おすすめアナログIC製品の紹介 ECU開発を支える「見えない主役」
NXPの車載ECU向けアナログIC製品を、センサー、RTC、表示、通信、電源など周辺機能を支える部品として紹介しています。
- NXP Semiconductors N.V.
- NEXT Mobility

NXPの信号改善機能(SIC)を搭載したCANトランシーバー製品の解説
NXPのSIC搭載CANトランシーバーは送信側でリンギングを能動的に抑え、CANFDの高速通信を安定化し、ソフト互換やピン互換で既存設計に置換可能、車載規格に準拠します。
- NXP Semiconductors N.V.
- NEXT Mobility







