自動車の燃費は、人為的要因や環境要因等、さまざまな要因で決定され、自動車の重量もその要因に含まれています。
自働車で一番重い部分はシャーシ、次に重い部分はエンジン部分、続いてワイヤーハーネス部分です。ハーネスの重量を削減することは、燃費向上に大きく貢献し、車載イーサネットを社内ネットワークとして用いることで、ワイヤーハーネスの重量を削減できると見込まれています。重量の問題の解決策の一つが、データ回線を介して電力を供給する事です。
本コラムでは電源ネットワークと車載イーサネットに注目します。
※消費電力の削減による燃費向上については、TC10(技術コラム)で解説します。
電源ネットワーク
電源ネットワークの主な目的は、必要時にいつでも電源供給を担保することです。電圧降下なしに一定レベルの電圧供給が必要とされています。 以下の図は電源ネットワーク関連要素のイメージ図です。
自動車の車体が電位基準点とし、電源及び各ECUのGNDは車体に接続されています。配電器でECUへの電源供給を確実にできるようにし、原則として配電線には過負荷から保護するためのヒューズが使用されています。また、通信ラインを見た時にECU A,B,CはEthernetスイッチICであり、通信ノードはPHYのみを介して接続されています。ECU CとECU C1,C2,C3は通信ライン及び電源ラインで接続されていますが、これらのラインを統合できる技術がPoDLです。
Ethernetケーブルでの電力供給
Ethernetケーブル経由でデバイスに DC 電力を供給する技術としてPoE(Power of Ethernet)やPoDL(Power of Data Line)が挙げられます。
個別の電源やコンセントを用いずEthernetケーブルのみで電力供給が可能になります。
PoE(Power of Ethernet)
PoE(Power of
Ethernet)は、主に民生機器や産業機器で使用されています。IEEE802.3afの規格によって制定され、給電装置(PSE)および受電デバイス(PD)という2種類のPoEデバイスが定義されています。PSEでは、電力は装置自体の従来型の電源から供給されます。
PSEは、EthernetケーブルネットワークでPDに伝送される電力を管理します。PDが必要とする電力はRJ45コネクタ経由で供給されるため、内蔵電源は必要ありません。PSEからPDに給電するケーブルを電源インターフェース(PI)といい、MDIと同義です。
モードによって、電源供給のペアケーブルが異なります。
また、PoEを拡張したものとして、PoE+(IEEE802.3at)及びPoE++(IEEE802.3bt)が存在します。主な違いは、最大電力供給能力です。
詳細は以下の表の通りです。
| 規格 | PoE | PoE+ | PoE++ |
|---|---|---|---|
| 標準 | IEEE 802.3af | IEEE 802.3at | IEEE 802.3bt |
| 最大PSEパワー | 15.40W | 30W | 60W(Type3) 100W(Type4) |
| PD給電 | 12.95W | 25.5W | 51W(Type3) 71W(Type4) |
| ツイストペア2 | 2Pair | 2Pair | 4Pair |
| ケーブルの種類 | Cat3 | Cat5 | Cat5 |
| 最大伝送距離 | 100m | 100m | 100m |
PoDL(Power of Data Line)
PoDLは車載向けの技術で、IEEE802.3cgで制定されています。PoEとPoDLの大きな違いは、電力供給する際に使用するツイストペアケーブルの本数です。PoE同様、データ送信に使用されるケーブルを使用して電力を供給が可能で、PoDLでは1本のツイストペアケーブルのみで電力供給が可能です。100BASE-T1、1000BASE-T1 や10BASE-T1S 、10BASE-T1Lに使用されます。
PoDLのクラスにより、給電能力、PI上の電流値、PSE及びPDの電圧値が定義されています。クラス0からクラス9まではIEEE 802.3buで車載システム用に、クラス10からクラス15までは802.3cgでBA(Building automation)及びFA(Factory automation)用に定義されています。
電力線削減に伴い、重量の低減だけでなく電磁干渉の低減及びコネクタの削減による空間的なメリットもあります。またPSE、PDに接続されているインダクターによって電流量を調整することで、周辺センサ等に最適な電圧を供給することができます。
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